こだろうねえ」
「左様でございますねえ」
右に青い海を隔てて、黛《まゆずみ》のようにかすむ山を主従がながめて、
「大方、上総、房州あたりだろうと思うんでございます」
若いのが、親方から尋ねられて、覚束《おぼつか》なげに返答をすると、親方のお角が、
「そうだろうねえ、上総、房州の方角だと、わたしも、さっきからそう思って眺めているところさ」
上総、房州では一けた違う、伊豆の半島の東南から見た眼前の突出は、当然三浦半島でなければならないのだが、この二人の頭では、陸地が海へ突き出していさえすれば、それは上総、房州に見えるものらしい。
「え、間違いありません、あれが上総、房州です、ほら、ごらんなさい、あの高いところが、あれが鋸山《のこぎりやま》でござんしょう、そうして、あれが勝浦、洲崎《すのさき》……間違いございません」
政どんなるものが、一桁ちがいの親方の裏書をいいことにして、自説の誤りなきことを指で保証すると、お角も納得《なっとく》して、
「そうそう、あの辺が洲崎に違いない、洲崎はいやなところだねえ」
と、若いのが指さした岬の突端あたりに、遠く眼を注いでいると、
「親方が命拾いをなさ
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