#「ただ竹を四本立ててぞゐたりける」に傍点]」
[#ここで字下げ終わり]
「どうです、すっかり人を釣っておいて、最後に突放した手際はあざやかなものじゃありませんか、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思えども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞいたりける……が旨《うま》いじゃありませんか」
兵馬もばかにされた思いをしながら、それでも行文の妙味に、少なからず感動させられたようです。
眼の前にころがる餅を取ることがおっくう[#「おっくう」に傍点]で、三日の間、人の通るのを待っているという徹底した物臭ぶり。
それでも、鳥や、犬の横取りを怖れて、棒をもって、それを逐《お》うだけの労は厭《いと》わず、三日目に馬上で来た役人をつかまえて、その餅を取らせようと試みたが、それが無効なので、さては天下にわれより以上の物臭がある、僅かに馬から下りて、餅を拾ってくれるだけの労をさえ厭う者がある、と感服していた男。
それが、ある大納言に見出されて京都へ上り、首尾よく勤め上げて、また信濃へ帰ろうとする時の話――
国への土産に、よい女房をつれて帰りたい。
よい女房を求めるには「辻取り」ということをせ
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