のいうことを取合いませんでした。
火は盛んに燃えて、集まるほどの者が、それを消すべく懸命の努力を試みているのをよそに、弁信法師も、お銀様も、小高いところに坐り込んだまま動こうとはしません。
一方、馬のいななきが盛んに聞えるのは、火を消すことに努力するものの一方には、馬のはやるのをしずめることの努力が想像されます。火を見てはやる馬は、暗い方へは逃げずして、明るい方へ進みたがることは、火取虫と同じです。そうして、その明るい方の危険なることを知らざることも、また、火取虫と同じです。
常の世にあっては、光明《こうみょう》を求めて進むのを習いとするが、非常の時、火事の時は、必ずや暗い方へ逃げなければなりません。お銀様もそれを知り過ぎたために、逃げ過ぎました。しかし、はやり過ぎる馬の方も、どうやら押えが届いたようです。
火は頂上を過ぎました。棟《むね》も完全に焼け落ちてしまいました。ほのお[#「ほのお」に傍点]は相変らず天を焦《こ》がすといえども、要するに余燼《よじん》に過ぎません。
だが、こちらの方、二人は例の小高いところに腰を卸したまま、動き出そうとしないのは変りません。どちらが先に
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