「それは、力でも、愛でもありません、破壊です、絶滅です、本当の力には救いがなければなりません、本当の愛には生命がなければなりません」
「そんなことはわたしは知らない、わたしはあの火に救いを認めます、あの火に絶大無辺な愛を認めます。考えてごらんなさい、人間の愛というものに、依怙《えこ》の沙汰《さた》のないというところがドコにありますか。親が子を愛するのが本当なら、親にそむく子はなかるべきはずなのに、この世では、親も、子も、みなあいそむいています、形でそむかないものは、心でそむいています。師匠が弟子を愛するというのも、弟子が師匠を慕うというのも、みんな嘘です、嘘でないにしても、本当の愛ではありません。本当に許し合っている夫婦、信じ合っている友というものが、この世にいくつありますか。釈迦や、キリストや、孔子の愛――慈悲でさえも、総《すべ》ての人間が救われた時がありましたか。その大きな手がひとたびひろがれば、一切万物を、みんな己《おの》れのふところに同化してしまうという愛が、この人間のこしらえた、人間の産み出したものの中に、一つでもありますか。それに比べて、あの火の力をごらんなさい。王朝以来の
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