は窮屈でたまらない。
 そこで、ただいま、神妙に本を読み出したのなんぞも、こうして米友を安心させておき、油断を見すますの軍法かも知れません。さればこそ、寝入りながら、「つまらねえなあ」と嘆息したのも、この監視つきに対してのやる瀬なき鬱憤《うっぷん》を漏らしたものと見れば、見られないこともないのです。
 道庵が眠りについたと見たから、米友も枕につきました。
 米友は枕につくと早くも、いびきの音ですけれど、熱に浮かされた道庵は、容易に眠れないと見えて、時々、狸《たぬき》のような眼を開いては、次の間の様子に耳を立てるのは、米友の寝息をうかがうもののようにも見えます。
 道庵主従がこうして、ともかくも静かに床についている向うの一間では、人の気も知らないで、飲めよ、歌えと、騒いでいる大一座がある。
 悪ふざけの国者《くにもの》の声と、拗音《ようおん》にして、上声《じょうしょう》の多い土地なまりとが、四方《あたり》かまわず、ふざけ噪《さわ》いでいるのが、いたく道庵の感触にさわっているらしい。
 しかし、それはかなり間を隔てたところだから、辛抱をすればできるし、夜《よ》っぴて騒いでいるわけでもあるま
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