、さのみ驚きません。というのは、沢井の道場の音無《おとなし》の名を遠近から伝え聞いて、かなりの武者修行が押しかけて来ることは、近来になってことに多いものですから、それらが、まだいまだに、机竜之助が存生《ぞんじょう》の者であるかの如く考えたり、そうでなくても、しかるべき系統を伝えて、竹刀《しない》の響を立てていることとばかり信じて立寄って来るのですから、その度毎《たびごと》に与八は、きまったようなおことわりをすることに慣れている。
そこで今日も、その異体の知れぬ豪傑が七人押しかけて来たということに、相当の心得があって、
「あの、こちらの道場では今、剣術の方は休みになっているのでございますよ、剣術の方は休みで、子供たちが集まって、お手習ばっかりやっているんでございますからね、せっかく武者修行においでなさるお方に対しては、まことにお気の毒さまでございますが、悪《あ》しからず御承知を願いとうございますよ」
と、箒を斜めに持ちながら返答しました。この返答は、お松と相談してはんで捺《お》してあるような返答で、与八は来るごとの武者修行にこう言って、素直《すなお》におことわりを言って、素直に帰っても
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