持になって、堂の後ろから竹箒《たけぼうき》を探し来《きた》って、落葉を掃いて、堂前の道筋を、すっかり清めてしまいます。
 お松が堂の前を掃いていると、雑木林を隔てて街道の彼方《かなた》から、駅馬の鈴が響いて来て、馬子の唄がのんきに耳に入りました。続いて鶏と犬との声が遠く聞えましたが、お松の掃除をしている間は、誰もここへ通りかかる人がなく、掃除がすんでしまって、お松は再び馬上の人となって、北へ向って歩ませました。

         二十二

 ちょうど、お松が出張した留守中のことであります。沢井の机の道場に与八が、子供たちのおさらいを帰してしまったあとへ、異体の知れぬ豪傑が七人|揃《そろ》って押しかけて来ました。
「これこれ、当家の主人は在宅か」
 道場の中を掃いている与八をつかまえて、異体の知れぬ豪傑が、穏かならぬ色で詰寄せて来たものですから、与八が、
「はい」
といって、箒の手を休めて、眼をパチクリして見ていると、
「主人は在宅か」
 七人は早くも道場の中へ押し込んで、返答によっては奥へ乱入の気色《けしき》と見えました。
 しかし、与八は、変ったお客様にはこのごろは慣れていますから
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