、お絹の顔をかたみがわりに見渡して、しゃべり出しているから、お絹が、
「駄目よ、三味線なんて、わたしのがら[#「がら」に傍点]じゃないけれど、あんまり退屈するものだから、退屈|凌《しの》ぎに持ち出してみました、お前こそ、なかなかこの道に堪能《たんのう》だという評判じゃないか、一つやってお聞かせな」
「ど、どう致しまして、たんのうは恐れ入りやす、全く恐れ入りやす」
 金公がイヤに恐縮するのをお絹が見て、からかってやる気になり、わざと三味線を押しつけて、
「何でもいいから一つ、やってごらん」
「いえ、どう致しまして、全く……」
「そんなことを言わないで」
「どう致しまして」
「さあ、おやり」
「いけやせん、全く」
「何でそんなに遠慮をするの、今日こそはお前の腕を見て上げるから、一つおやり」
「どう致しまして」
「やらないの?」
「いえ、その……」
「やらないの?」
「いえ、その……」
「やらないの、それとも、やれないの?」
「ど、どう致しまして」
「やらないのなら、やらないとお言い、やれないのなら、やれないとはっきり言ってごらん」
「全く以て、その……」
「ふだんの広言に似合わないじゃない
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