まで腐り込んだ主膳の魂のどこかを、軽く突いたようなものです。
 万一、徳川の屋台骨《やたいぼね》が崩れるとすれば、その責任はいわゆる旗本にあるのだ。われわれも御粗末ながら、その旗本の末席を汚し来った一人とすれば、その責めを分たねばならないのだ。責めを分たねばならないどころの話か、このおれのような恥知らずの、やくざ者が相ついで出でたればこそ、主家のタガがゆるんだというものではないか。おれたちこそ、実に徳川にとっては獅子身中《しししんちゅう》の虫だ。なんのおれたちが、しっかりしてさえいれば、つまり旗本八万騎なるものが、往昔の三河武士の気骨さえ失わないでいるならば、なんの薩摩が、なんの長州が、歯が立つものか――
 おれのような、やくざが旗本から続出したればこそ、それでこうも徳川の屋台骨が傾いたのだ。
 徳川の敵はおれたちじゃないか――なあに、天下は廻り持ちだから、三百年も一手に握っていれば、大抵にして他に譲った方がいいのだ。未来|永劫《えいごう》、日本の国の政治の権力が、徳川の手にあるべきはずもなく、あらしめねばならぬ名分もないのだ。栄えるのが何だ、衰えるのが何だ、おれたちは、つまり遊びたい
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