薩摩を討たせ、その後に長州を亡ぼそうという魂胆が、こっちに無かったとはいえないからたまらないさ、しかし、それを程よくここまで立てて来たのは、東照権現《とうしょうごんげん》の偉大なる政策と、重大なる圧力の結果だよ」
そんなようなことを言っているうちに、
「まあ、御免下さいまし」
七兵衛は、こんな話をしておいて、急に縁《えん》から立ち上りました。
そこで主膳の前から消えてしまった七兵衛は、つまり御免下さいましの意味は、単に主膳の前だけの暇《いとま》だか、これから例の以前の鎧櫃《よろいびつ》の一間に籠《こも》って、悠々《ゆうゆう》、夜の疲れを休めようとするのだか、或いはまた、これから、何かめざしたところの仕事にでも取りかかろうとして出発を急ぐのだか、乃至《ないし》また、お絹のところあたりへ、ちょっと顔を出して、御挨拶を申し述べてみようとするのだか、それはわからないなりに、まあ御免下さいましと言って七兵衛は、主膳の前から消えてしまいました。
七兵衛が立去ったあとで、神尾主膳は、なんだか平生には似気《にげ》ない心持になりました。
国の亡ぶる秋《とき》遠からず――といったような感慨が、骨
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