、行けるところまであとをつけて行ってやろうと、こう思いました」
「うむ、お前ならどこまでもついて行けらあ、薩摩だって、琉球だって」
「ところが……」
と七兵衛は、刻煙草《きざみたばこ》の国分《こくぶ》をつめ換えて、
「ところが、あなた、向うの足が早ければかえって、こちらも楽なんでございますが、向うの方が人並|外《はず》れてのろくさい旅なんですから、あとをつけるのに、ずいぶん弱らされちまいました」
「そんないいずうたいをしていながら、意気地のねえ奴だ」
と神尾が、あざ笑うように言いました。
「何しろ、西郷どんはそのずうたいでございましょう、駕籠《かご》に乗ってはたまりません、駕籠もたまりませんし、第一雲助がたまりませんね――それじゃ馬がよかろうとおっしゃるかも知れませんが、馬が駄目なんです」
「なんだ、意気地が無《ね》え、馬にも乗れねえ薩摩っぽう」
と神尾が、またあざ笑いました。神尾のはわざとあざ笑うわけではなく、本来、薩摩の陪臣としての西郷などを、眼中に置いていないのですから、先天的に、鼻の先であしらい得るように生れついているのです。
「そういうわけじゃございません、侍が馬に乗れないと
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