がよい流れだと思う。朝の光線も、空気も、庭の木々も、そこへ遊びに来る小鳥も、すべてが快い感じを与える朝だというように、主膳は珍しく暢《のび》やかな、ゆったりした気分になりました。
 ところが――一朝にして、このせっかくの主膳の、珍しく気持のよい暢やかな気分を、根本から打消してしまったものがあります。
 そこで、主膳はむらむらとして、一種の不快千万な気持に襲われると共に、今までの、かりそめの清純な感情が塗りつぶされてみると、当然あるべき神尾主膳そのものの感じが、露骨に現わされてしまったのは、ぜひのないことでしょう。
 何が、それほど、せっかくの神尾主膳を不快なものにしてしまったか。
 庭を隔てての廊下を見ると、お絹という女が寝くたれ髪のだらしのない風をして、しきりに楊子《ようじ》を使っている姿が、ありありと見られたからであります。
 今時分――日はカンカンと照っているのに、自分でさえが、こうして、早く、いくつもの法帖を楽しんでいるのに、かの女《おんな》は、今になって漸《ようや》く寝床を離れたものらしい。
 朝寝ということは、当然夜ふかしというものを前提とする。
 それは芸妓であり、女郎で
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