精虫といったようなものは存在していたに相違ない。それが先天的の印象で、人間の形になるまで残っていて、想像が働き出した時には、生れぬ先の父でもなんでも、形に表現してみることになるのじゃないか知らん。事実、人間が想像だの、空想だの、不可思議がるものは、みな前世界の実見の表現ではないかしらと、このごろは、そう思わせられることが多い」
「そうしてみると、その前世界とか、有史以前とかいう時に生きていた不可思議な動物というのが、今日、生きていないのはどうしたのです」
「それは種が切れたのだな」
「種が……」
「今日、想像だけに上って、実際に見ることのできぬものは、すでに、その種族が絶滅してしまったのだ」
「ははあ、種切れになったのですか。してみると今日、われわれのように、人間の形をとって生きている生物も、次の世界には、種切れになってしまうと見なければならん」
「左様、この地球――この地上が、地上として今日のように固まるまでには、幾多の生物が現われて蕃殖《はんしょく》したかと思うと、それが全く種切れになって、次の時代に移り……」
 駒井甚三郎が竜の疑惑から、種《しゅ》の問題に進んで行く時、あわただし
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