んまりと、焚火の温《ぬく》まりを貪《むさぼ》っている狡猾《こうかつ》なる策略。
 だが、すべてのものは、そう不信を頭において、見くびりを鼻の先へぶらさげてかかった日にはたまらない、せっかくの有縁《うえん》のものをも、無縁の里へ追いやってしまう。
 狗児《くじ》にも仏性《ぶっしょう》ありというのだから、老猫も一切衆生《いっさいしゅじょう》の中の一物ではある。
 その証拠には、さしも柔媚《にゅうび》にして狡猾な老猫も、少し首を振り出して来たようだ。蘆管の音律につれて、その首が左右に軽くゆれ出して来たようです。
 では、おどり出すかな。この分で行くと、この度し難い動物も、他の度し易《やす》い悪獣毒蛇と同じように、茂太郎の動かすリズムにつれて動かされ、おしゃます踊りの手をでも、不思議な態《てい》で見せてくれるかも知れない。
 この面白い首振りのところで、茂太郎が、ふっと蘆管の吹奏《すいそう》をやめてしまったのは惜しいことです。
 笛をやめた茂太郎は、耳をすまして黍畑《きびばたけ》のかなたを見つめました。

         十四

「茂ちゃん、もういいからお帰りよ」
 これより先、遠見の番所を
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