、さいぜん海女が焚き残したところの、石塔の前の焚火のところに向わないわけにはゆきません。
般若の面を頭へのせたままで、茂太郎は焚火のところへ寄って来ました。
「卒塔婆《そとば》が燃えてらあ、勿体《もったい》ねえな」
しかし、卒塔婆のほかには、多くの燃料がなかったものですから、子供心にも勿体ないと知りつつ、その卒塔婆の折れを増しくべて、火の勢いを盛んにしてしまいました。
それからの仕事は着物をぬいでしぼって、それを卒塔婆の火であぶることです。
般若の面は相変らず、頭の上へのせて着物の一切を脱いでいるから、これも素裸《すっぱだか》であります。
そこで、着物を乾かしながら、自分の身体《からだ》をあたためながら、いいあんばいに、おあつらえ向きに火が燃やされてあったことに、少なからず感謝の念が湧いてみると当然、この火は、いま、丸くなって逃げて行った海のおばさんの焚き残した火だとさとって、その感謝の念を、右のおばさんのところへ持って行かなければならないと思いました。
しかるに、そのおばさんは、何だって、ああして丸くなって逃げて行っちまったんだろう。人が助けを呼んだも同然なんだから、むし
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