ことにも頓着なく、裸になった海女は、誰に遠慮もなく、海へざんぶと飛び込んでしまいました。飛び込んで、思うさまに泳ぎはじめました。
それは鮑《あわび》を取るためでもなければ、人魚の戯《たわむ》れといったような洒落《しゃれ》た心持でもない。つまり、風呂へ入る代りに、海で色揚げをするのかも知れません。
或いはまた、御亭主殿を失った精力の有り余る海女《あま》は、情念が昂進して来ると、夜中でも飛び起きて、海で遊んで来ないことには、どうにもこうにも、悶々《もんもん》の肉体をもてあますのだとのこと。
ここに限ったことではないが、海の女のあくらつなところへ、もし、気の抜けた、物ほしそうな男でも通りかかってごらんなさい、それこそ命があぶない。
そういうわけでもあるまいが、かなり長い時間を、思う存分に泳ぎ廻った揚句《あげく》――この辺で見切りをつけようとして立ってみると、波のあるわりあいに、そのところは浅く、潮の正味は下腹のところまでしかありません。
そこで、両手を合わせて面《かお》を一つ撫でてから、その両手を後ろへ廻してぬれた髪の毛を手荒く引っつかみ、頭をやけのよう[#「よう」に傍点]に左右に
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