か小さい分のこと、あちらにもこちらにも同じような石塔、五輪のような形を成したのや、無縫の形を成したのまでが、散在していて、そのまわりには、満足であったり、折れたり、裂けたりした卒塔婆《そとば》までが、いくつも立ち乱れています。
 けれども、見たところ、それは一定の墓地というものでもないらしい。形ばかりでも菩提寺《ぼだいじ》というものがあって、親類縁者というものが集まって、野辺《のべ》の送りというものを済ました後、霊魂の安住という祈念で納めた特定の場所ではないらしい。
 つまり、無縁仏《むえんぼとけ》というものです。無縁仏とすれば、陸地で、畳の上で、ともかくも無事な息を引取ったものではなく、この見渡す限りの広い海原《うなばら》のいずれかで、非業《ひごう》の死を遂げて、その残骸を引渡すところもなく、引取る人もなき、不遇の遊魂を慰めるために、こうして、心ばかりのしるしが営まれたと見るほかはないのであります。
 今も、逞《たくま》しい海の労働女がもたらした一つの新しい記念碑も、ただいま陥没した清澄の茂太郎のための早手廻しでない限り、そういった種類の遊魂の衣《ころも》に過ぎまいと思われます。
 
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