ものではあるまい。
 ただ気候が温暖なため、もう一つは、婦人の労働が盛んで肉体が肥るのと、もう一つは、飽くまで魚肉を食うから、それで肉体の燐分が豊富になり、色慾が昂騰するのだというものがある。それは比較的そうかも知れないが、それを以て、房州の女全部の貞操に当てはめるのはいわれのないことです。
 この労働女もまた、そういった種類の御多分に洩《も》れないのかも知れない。御多分に洩れても洩れなくても、それはよけいなことですが、この際、偶然とはいえ、ここへ石塔を持って来て押立てたことは、気が早過ぎるといえば早過ぎる、ということができます。
 清澄の茂太郎にとって、不祥といえばこれ以上の不祥はありません。
 苟《いやし》くも人間一人が陥没して、生死不明になったその瞬間に、事もあろうに、その同じ地点へ持って来て石塔を押立てるということは、当人の知ると知らぬにかかわらず、好い辻占《つじうら》とはいえますまい。知らないこととはいえ、どうも縁起のよくないことをする女です。
 と思って女の身のまわりをよく注意すると、不祥はこれ一つに限ったことはない、砂丘の断続したその後ろのところを見ると、それよりはいくら
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