えをしました。
そこへ田山白雲が追いかけて来て、その身構えを見て、あきれ返りました。
これは窮鼠《きゅうそ》猫をかむという東洋の古い諺《ことわざ》そっくりで、狼狽《ろうばい》のあまりとはいえ、あの身構えのザマは何だと、白雲は冷笑しながら近づいて行って、その首筋を取って引落そうとする途端を、どう間違ったのか、その名状し難い妙な身構えから、両わきにかい込んだ拳《こぶし》が、電火の如く飛びだして、白雲の首からあごへかけて、したたかになぐりつけたものですから、不意を食《くら》った白雲がタジタジとなるところを、すかさず第二撃。
さすがの白雲がそれに堪らず、地響きを立てて床の上へ、打ち倒されてしまいました。
起き上った時の白雲は、烈火の如く怒りました。
だが、最初にばかにしたあの変な身構えの怖るべきことを、この時は気がついたようです。変な身構えが怖ろしいのではない、あの変な身ぶりから飛びだす拳の力が、怖ろしいのだとさとりました。
だから、こいつ、何か術を心得ていやがるなと感づいたのも、その時で、そう無茶には近寄れない、強引《ごういん》にやれないと、気がつきながら起き上って見ると、まだ逃
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