をしながらウスノロのあとを追いかける。
見ていた駒井は、これは白雲が少しやり過ぎる。あいつも、あのままでは打ち殺されると思ったから、必死の力を揮《ふる》って逃げ出したのだろう、へた[#「へた」に傍点]なことをして怪我でもさせてはつまらない――と心配はしたけれども、仲裁のすきがありませんものでしたから、ぜひなく、二人の先途を見とどけようとして、そのあとを追いました。
本来、田山白雲は、その風采《ふうさい》を見て、誰でも画家だと信ずるものはないように、筋骨が尋常ならぬ上に、武術もなかなかやり、ことに喧嘩にかけては、相手を嫌わぬしれ者[#「しれ者」に傍点]でありましたから、こういう場合に、じっとしておられるわけがない。
ことに、いったん取押えたやつにはね起きられて、突き飛ばされて、逃げられたというのが、しゃくにさわったものらしい。
そこで、廊下を追いつめて来たところが、例の食堂で、ここへ来ると、いつのまにか、料理場へ通う戸が締切られてあったものだから、大の男が逃げ場を失いました。
逃げ場がなくなったものですから、絶体絶命で大の男は、その戸じまりの前に立って、何とも名状し難い妙な身構
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