くましうさせるの舞台ではない。
 無用心ではあるが、無人島ではないこの住居へ、いつまで人間らしい人間の影を見せないということはあるべき道理ではない。
 駒井甚三郎が画框《がわく》をかかえ、田山白雲がジャガタラいも[#「いも」に傍点]を携えて、悠々閑々と門内へ立戻って来たのが、その時刻でありました。
 白雲は料理場へジャガタラいも[#「いも」に傍点]をほうり込んで、駒井の手から框を受取って、廊下の追分のところまで来た時分に、駒井の寝室がこの騒ぎです。
「誰か来て下さい――」
 それと混乱して、一種聞き慣れない野獣性を帯びた声。
 二人は、ハッと色めいて、宙を飛ぶが如くに例の寝室まで来て見ると、この有様ですから、無二無三に、
「この野郎!」
 腕自慢の田山白雲は、後ろから大の男を引きずり出して、やにわに拳《こぶし》をあげて二つ三つ食らわせましたが、それにも足りないで、倒れているのをのしかかって、続けざまにこぶしの雨を降らせたものです。
 と同時に、大の男が泣き叫んで哀れみを乞《こ》うの体《てい》。それも言葉がわかれば、多少の諒解《りょうかい》も、同情も、出たかも知れないが、何をいうにもチイ
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