といえば無用心に過ぎる。
 しかし、実はこの無用心が当然で、こんな種類の闖入者があろうということは、想像だも及ばないこの地の住居のことだから、それは無用心を咎《とが》める方が無理だろう。
 またしかし、ここは、料理場と違って、駒井甚三郎の研究しかけた事項には、断じて掻《か》き廻させてはならないことがあるに相違ない。ここで革命を行われた日には、料理場の類《たぐい》ではなく、たしかに取返しのつかないことがあるに相違ない。さればこそ駒井甚三郎は、いかなる親近故旧といえども、この室へは入場を謝絶してあるはず。
 幸いなことに、この室には錠が卸してありましたから、闖入者も如何《いかん》ともし難く、立ちつくして苦笑いを試みました。
 研究室の扉があかなかったものだから、闖入者はにが笑いして暫く立っていたが、また泳ぎ出して、次なる寝室に当ってみると、これが難なくあいたのが不幸でありました。

 研究室の扉の頑強なるに似ず、ほとんどこれは手答えなしに、フワリとあいたものですから、闖入者は押しこまれるように、この室に闖入してしまいました。
 闖入してみると、闖入者が、
「あっ!」
と、キュラソーの瓶を取
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