「米の代りになりますか?」
「外国では、米の代りに、常食としているところがあるそうです。濃厚な肉食をしている西洋人は、副食物のようにして、好んでこれを用います。ですから、或いはこのジャガタラは、西洋人が落したものかも知れません。もしそうだとすれば、ワザと捨てたのか、それとも船がこわれたのか……」
「腐ってはいないようだから、ワザと捨てたんではありますまい、この辺の百姓が作って、干して置いたのを、波にさらわれたのではないかしら?」
「そうかも知れません……しかし、まだこの辺の百姓が、ジャガタラいも[#「いも」に傍点]を作っているのを見かけませんが……」
 駒井は、まだこのジャガタラいも[#「いも」に傍点]の存在に不審が解けきれないでいると、白雲は画框《がわく》を岩上にさし置いて、懐中から風呂敷を出して砂上にひろげ、
「それほどうまいものなら、持って行って食べてみましょう……西洋人に食えるものが、われわれに食えないというはずはない」
といって、その根塊の特にうまそうなのを選んでいちいち拾い上げて、その風呂敷に包みはじめました。
 田山白雲は、晩餐《ばんさん》の賞美の料としてのジャガタラ
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