いも[#「いも」に傍点]をブラ下げて行くと、駒井甚三郎は、白雲のために、代って画框を受取って、海岸を帰途につきました。
 その時、駒井はこんなことを言いました。
 もし、自分が海外のいずれへか植民をしようという場合には、とりあえずこのジャガタラいも[#「いも」に傍点]を植えつけてみたい。その手始めに、この地方へ栽培を試みようと思ったが、ツイにそこまで手が廻らなかったのが残念だ。船を造ることに急にして、農業のことを忘れたのが残念である――植民は農業から始めなければならぬ――というようなことを言う。
「いけないのは、武力を以て、従来の土着の者を征伐して、その耕した土地を奪おうということです。それで一時成功しても、永く続こうはずがありません。やはり、新天地を求めて、自分から鍬《くわ》を下ろして、土地を開かなけりゃうそ[#「うそ」に傍点]です」
 駒井はこのごろ、新しくそれを悟ったもののようにつぶやく。
「その新天地というのは、いったいどこにあるんです?」
 白雲がたずねる。
「至るところに新天地はありますよ、われわれはまず、このジャガタラの地方へ行ってみたいと思う」
「ジャガタラとは、どっち
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