うして?」
米友は胸を圧迫されるような苦しさで、お松の面《おもて》をじっと見つめる。
「赤ちゃんが生れました、赤ちゃんの方は丈夫ですけれども、お君さんがいけないのです、で、自分にそれがわかっているんでしょう、ぜひ、友さんに会わせて下さいって、そのことばかり言いつづけなんですよ、ほんとによく来て下さいました」
「うむ」
「けれども、友さん、そういうわけですからね、いつものようにポンポンいっちゃいけませんよ、たとい友さんの気象で、面白くないことがあるとしても、友さんみたように、あんなに強くいわれるとね、気の弱い人はのぼせてしまいますから、やさしく口を利いてやって下さいね」
「俺《おい》らだって、好んで悪口をいうわけじゃねえんだ」
「そうでしょうけれども、なるべくやさしくいってくださいよ」
「ムクがかわいそうだな」
といって米友は、障子を開いて縁の外を見ますと、お松が、
「ええ、ムクもこのごろは、しおれきっています、御飯をやっても食べやしません」
米友は立って縁の上に出で、そこで口笛を吹きますと、
「友さん、夜になって口笛を吹くものではありませんよ、悪魔がその音を聞いて尋ねて来るそうです
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