槍は、拙者の小手を突くつもりだろう」
といいました。これには米友がピリリと来て、
「エ?」
といって眼を円くしますと、
「君の槍は奇妙千万で何とも形容ができない。いったい、君はどこでその槍を習った。槍先はたしかに宝蔵院の挙一になっているが、槍そのものの構え方は木下流に似ている、といって気合精神はそれらの流儀のいずれでもない、トンと奇妙千万。まあ、仲直りをしよう、仲直りをして一話し致そうではないか」
先方から講和を申込んで来ましたが、その時、米友は、
「うーん」
と唸《うな》り出しました。今度は全くわからなくなったのです。武士たるものはいっこう騒がず、
「君、まあ、この辺へ坐り給え。実は君をオドかして済まなかったが、こんないたずら[#「いたずら」に傍点]をしてみたのは、この辺が辻斬の本場になって、世人が迷惑を致すから、ひとつ見せしめを試みて、今後を戒しめようとして、こうして網を張ってみたのだが、求めてみるとなかなか獲物《えもの》はかからない、ところへひっかかった君は、案外の雑魚《ざこ》だと思ったら、実は意外の掘出し物であったのだ。勘弁し給え」
聞いてみるとなるほどと頷かれる。してみ
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