天分以外の達人は有りとも、自分の天分以上のものは無いと信じて疑わない。系統格法は論外に置いて、物があらば必ず突き留め得るものと信じて疑わないところに、この男の破天荒《はてんこう》な勇気がきざして来るのであります。我を知るものは必ずや敵を知って、彼はこの勇気を思慮なく濫用するということはありません。
 わからなくなったのは、大道へ武士の魂を抛《ほう》り出して、飲代《のみしろ》にでもありつこうとする代物《しろもの》のことだから、恫喝《どうかつ》は利いても、腕は知れたものだろうとの予想が外れて、悠然として此方《こっち》のかかるのを待っている体《てい》は、やはり米友その者を知らないから、ちょっとばかり腕に覚えのある馬鹿者が、誰かにオダてられて来たのだろうと、多分、先方はその辺に見くびりをつけたのでしょう。それとも事実腕のある大男の剛の者か。そこで、米友はわからなくなったけれども、敢《あえ》て自分の自信を傷つけられたというわけでもありません。
 その呼吸を見て取った武士たるものは、
「待ち給え」
 刀を抜かないで、掌《てのひら》を突き出して米友の槍の出端《でばな》を抑えるようにして、
「君のその
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