《かが》めて地上に落ちた刀を拾い取ろうとすると、その刀がひとりでにスルスルと動き出しました。
刀がひとりでに動き出して堤《どて》の上へのぼると、堤の上から、その刀を携えて下りて来たものがありました。
「武士たるものの魂を足蹴《あしげ》にするとは何事だ」
「ナニ?」
そこで、米友は一間ばかり飛びしさりました。
「武士たるものの魂を足蹴にするとは何事だ」
ははあ、例によって辻斬だな、但し、こいつは少々|駈引《かけひき》があると米友がその時に思いましたのは、ほんとうに斬る気ならば前触《まえぶれ》はないはずである、ところが刀を往来中《おうらいなか》へころがして置いて、文句をつけに出るのだから、飲代《のみしろ》でも稼ごうという代物であって、必ずしも斬ろうというのが目的ではない、とは感づきましたけれども、ともかく、これだけの仕掛をするほどの図々しい奴だから、でようによれば斬るだけの腕を持っている奴である。
で、一間ばかり飛びしさった米友は、提灯《ちょうちん》をかざして、その下りて来た武士たるものの様子を篤《とく》とながめました。
こちらがながめるより先に、先方は敵の提灯で、敵の内兜《うち
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