に、
「さあ、友造君、奢るか奢らないか」
「わからねえ、奢っていい筋があるなら、ずいぶん奢らねえものでもねえが、わけも話さねえで、人を見かけてむりやりに奢れったって、そうはいかねえ」
 米友は炉の傍に立ったままで解せない面に、多少の不安を浮ばせていると、
「友造どの、そなたに宛てて別嬪《べっぴん》から文書《ふみ》が来ているよ」
「エ、文書が……」
 寺侍の某《なにがし》が、やはりニヤニヤと笑いながら、一通の封じ文を米友の眼の前に突き出して、
「どうもこの頃中から様子がおかしいと思っていたら、この始末だ、油断も隙もならねえ」
 そうすると寺男がまた口を出して、
「全く人は見かけによらねえもんだ、これを奢《おご》ってもらわなかった日にゃ、やりきれねえ」
「うーん」
 と米友が眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》って唸《うな》りながら、その一通を受取って見ると、美しい女文字で表に「友造様まいる」――一同の連中は、面白がって、まじまじと米友の面《かお》をながめていると、当の米友はニコリともしないで、裏を返して見ると「本所相生町にて、松より」
「友造さん、最初はその手紙を使の者
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