と》をいって、土間へ入り込んで来た時分に、土間では一斗も入りそうな薬鑵《やかん》のつるされた炉の周囲に、寺侍だの、寺男だのが、腰掛で雑談の真最中であります。
「やあ、友造どのお帰りか」
 ここでは友造の名で通っている。
「遅くなって済まねえ」
 笠をとり、風呂敷包を解きながら、再び申しわけをしましたけれど、実はそんなに夜が遅いのではありません。ただ予定通りに帰れなかったことを、米友として、しきりに申しわけながっているのだが、誰も別してそれを咎《とが》めようとする人もなく、かえって寺侍の一人が、意味ありそうにニヤニヤと笑って、
「友造どの、奢《おご》らなくってはいけないぜ」
「ナゼ?」
 米友が円い眼をクルクルさせると、
「なんと皆の衆、今日はひとつ、友造どんに奢らせなければなるまい」
「そうとも、そうとも、今日はひとつ、友兄に奢ってもらうがものはある」
「それ、どうだ、友造どの、覚悟をきめて返答さっしゃい」
「何だかわからねえ」
 米友はようやく首根っ子に結びつけた風呂敷包をほどいて、縁台の上へ置いて、解《げ》せない面《かお》。それを興あることに思って、一同の者が残らず米友を的《まと》
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