って、
「俺《おい》らが筆を貰ったって仕方がねえ」
「それじゃ何が欲しいんだ」
 絵師は頬かぶりの中から、巨眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》って、改めて米友の面《かお》を穴のあくほどながめたから、米友が少し癪にさわって、
「いつ、俺《おい》らが欲しいといったい? 俺らは物貰いに来たんじゃねえんだぜ」
 こういって軽く地団太《じだんだ》を踏んで見せますと、米友の笠の下から、穴のあくほどながめていた絵師は、何に感心したか、小首を捻《ひね》りながら言葉を重くして、
「君」
「何だい」
「君にちっとばかり頼みたいことがある」
と改まったいいぶりで、なお米友の面を穴のあくほどながめて、
「ぜひお願いだ!」
 絵師はむしろ歎願のような声。それを米友は焦《じ》れて、
「なんだってお前、俺《おい》らの面《つら》ばっかりながめてるんだ。第一、人の面を、ちょっとぐらいならいいが、そう長くながめているのは失礼に当るだろう」
 絵師はその時、わざわざ頬かむりを取って、
「悪く取ってもらっては困る……拙者は、君の面《かお》に見惚《みと》れて、つい失礼しちまったのだ」
「ナニ?」
「怒っては
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