外に立っているのが不思議。いや不思議でも例外でもない、御同様の盲目で、多分その殺気は受けても、殺剣が見えないからでしょう。
「身に徳があれば刀刃《とうじん》も段々に折れることでございましょう、徳がなければ刃を待たずしても亡ぶるものでございます。前世の果報が尽きた時に、今生《こんじょう》の終りが来るのでございますから、死ぬも生きるも己《おの》れの業《ごう》一つでございます。業は受けざれば尽きずと釈尊も仰せになりました、逃れんとしても三世の外へ逃るることはできません……私は、もうここを動きますまい、ここにこうして、じっとして立っておりましょう」
彼は相変らず殺剣の前に立って減らず口――しかし減らず口も、この際これだけの余裕を持ち得ることは、無辺際なる減らず口といわねばなりません。
清澄の茂太郎は、その時分、寺の東南、宮の台なる三重の塔の九輪《くりん》の上に遊んでおりました。
「弁信さあーん」
塔の上から三度、弁信の名を呼んだけれども返事がありません。そこで彼は、
「どうしたんだろう」
九輪を抱きながら、月光さわることなき地上を見下ろしました。いつもならば、呼ばない先に「茂ちゃんか
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