とく》せしめたと見えて、米友は甘んじて、彼等の偶像となろうとするものらしい。しかし、米友は正《しょう》のままではそこへ現われて来ませんでした。どこにあったか天狗の面をかぶって、頭へは急ごしらえの紙製の兜巾《ときん》を置き、その背中には、前に弁信が背負っていた笈を、やはり頭高《かしらだか》に背負いなして、手には短い丸い杖を持って現われたから、それを金剛杖だと思いました。そうして誰ひとり、米友だと気のつく者はありません。
「大山大聖不動明王《おおやまだいしょうふどうみょうおう》!」
 群集の中から喚《わっ》と鬨《とき》の声を揚げるものがありました。
「南無三十六童子、いけいら童子、うばきや童子、はらはら童子、らだら童子」
と相和《あいわ》するものもありました。
 要するにこの場は、変ったものでありさえすればよいのです。なんとか納まりそうな人形を提供して、馬に乗せさえすればよかったから、天狗の面が図に当りました。
「大山|阿夫利山《あふりさん》大権現、大天狗小天狗、町内の若い者」
 そこで米友が馬に乗ると、彼等は以前に、しおれきった小坊主をむりやりに人形に奉って来た時よりは、一層の人気を加え
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