み茶屋の周囲を取巻く事の体《てい》が、最初から穏かではありません。ところで、跳《おど》り出した道庵が、公衆の眼の前へ現われて、
「さあ、お前たち、あの小坊主にいろいろと療治を加えてみたが、少なくともなお三日間は安静におらしむべき容態である、いま動かしては命があぶない。といってお前たちも、折角ここまで引出した人形なしにはうまく踊れまい。そこは乃公《おれ》も察しているから相談ずくで、新しい人形を一つお前たちに貸してやる、これは鎌倉の右大将米友公という人形で、形は小さいが出来は丈夫に出来ている、ただいまのお喋り坊主と違って、ちっとやそっといじ[#「いじ」に傍点]くったところで破損をする代物《しろもの》ではない、その代りいじ[#「いじ」に傍点]くり方が悪いとムクれ出す、ムクれ出した日には、ちょっと手がつけられない、そのつもりでこの人形を伝通院まで貸してやるから、これを小坊主の代りに馬の上へ乗っけて踊れ、踊れ」
お喋り坊主の代りに道庵が提供したのは、鎌倉の右大将米友公と言ったけれども、実は宇治山田の米友のことであります。いつのまにか道庵が米友に因果をふくめて、盲法師の身代りとなるべく納得《なっ
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