夜が明けても彼等の踊り狂う熱は醒《さ》めない。この分では、江戸の町中を踊り抜いて、また日が暮れて夜が明けるまで、踊り抜くのかも知れません。
不動堂の一行も、道庵先生の一行も、この人数をどうすることもできません。とても正面から行っては、この人数を押し破って通るというわけにはゆきません。さりとて、行手は千住の大橋で、川を徒渡《かちわた》りでもしない限り、裏道を通り抜けるというわけにもゆきません。やむことを得ずしてお仕置場の中へ避けて、この人数をやり過ごそうとしました。踊り狂って行く連中のほかに、この時分になると夥しい見物人です。
あとからあとからと続く人数の真中に、馬にのせられた偶像がたった一つある。
それは偶像ではない、たった一人の小坊主が、この人数にもあまり驚かない温良な黒馬に乗っかって、悲しそうな面《かお》をして、人波に捲かれていることです。
その小坊主は、誰が見ても盲目《めくら》で、おまけに身体《からだ》よりも大きな笈《おい》を背負っていることがどうにも不釣合いです。この小坊主だけが、どうして馬に乗っているのだろう。馬に乗っているというよりは、見たところ、むりやりに馬へ掻《
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