もひとつ下検分に行ってみたいと思っていたところだから、お前が行くならば一緒に行こうと、乗り気になってしまいました。
そこで米友は薬を貰って、一旦目黒の不動院へ立帰る。発足はその翌日未明ということにきまっていて、道庵の一行は、上野の山下で不動院の一行を待ち合わせ、そこで相共に小金ケ原まで乗込もうということに相談がきまりました。
翌朝、道庵は、いつぞや伊勢参りに連れて行った仙公というのを一人だけ引具《ひきぐ》して、山下に待ち合わせていますと、まもなく不動院の一行がやって来ました。
この一行が千住の小塚原《こづかっぱら》に着いた時分も、朝未明《あさまだき》でありました。
なにげなく来て見ると、千住大橋あたりからお仕置場あたりまで、押し返されないほどの人出です。
「えいじゃないか」の踊りがある。木遣《きやり》くずしのような音頭がある。一天四海の太鼓の音らしいのも聞える。思うにこの夥《おびただ》しい人数は昨夜一晩、踊って踊り抜いてまだ足りないで、ここまで練って来たものらしい。出かけた先は、やはり下総の小金ケ原でしょう。小金ケ原から踊り出して、小塚原へ来るまでに夜が明けてしまったと見える。
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