るのが米友の米友たる所以《ゆえん》で、
「先生、そ、そんなわけで言ったわけじゃねえんだ、近所に藪があるというような、そんなあてっこすり[#「あてっこすり」に傍点]で言ったわけじゃねえんだ、藪なんぞは、目黒でなくったっていくらもあらあな」
「なおいけねえ!」
道庵が両手を差し上げたから、米友のあいた口が塞がりません。
けれども藪争いはそれより以上に根が張らず、道庵はいいかげんにして米友のために、二箇の印籠へ充分に薬を詰めてやりました。そうしていったい、旅へ出かけるというのはどこへ出かけるのだと尋ねると、米友の言うことには、このごろ、下総の国の小金ケ原というところへ山師が出て、目黒の不動様のお札を撒《ま》き散らしたり、荒人神《あらひとがみ》のうつしを持ち出したりするということだから、三仏堂の役僧と、講中の重なるものとが、それを取調べのために小金ケ原へ出張することになり、その帰りには佐倉、成田の方面へ廻るということで、いま目黒の不動様に厄介になっている米友が、その附人《つきびと》の一人に選ばれたという次第です。
それを聞くと道庵が珍重《ちんちょう》がって、ちょうど、その小金ケ原へは自分
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