《たんか》を切るわけにはゆきません。
「どういうわけということはなかろうじゃねえか、よく考えてみな、お前は目黒から来たと言ったろう、目黒はそれ、筍《たけのこ》の名所だろう、筍はお前、どこへ生えると思う」
「そりゃ先生、筍は竹藪《たけやぶ》の中へ生えるにきまってらあな」
「それ見ろ、つまり目黒は藪の名所だろう、その藪の中から出て来たくせに、近所に医者もあるにはあるがとは、道庵に対して随分失礼な言い分じゃねえか、いやにあてっこする[#「あてっこする」に傍点]じゃねえか、その位なら何も最初から、先生、わたしもこのごろ目黒におりまして、近所に藪もあるにはありますが、同じ藪でも長者町の藪の方が気心が知れて安心だから、それで、わざわざやって参りましたと、ナゼ素直に言わねえのだ、それをいやに、遠廻しに、近所に医者もあるにはあるが、わざわざ来てやったと恩に着せるように言われるのが癪だあな、おたがいにこう言った気性だから、物を言うにも歯に衣《きぬ》を着せねえようにして交際《つきあ》おうじゃねえか」
 実にくだらないこじつけ[#「こじつけ」に傍点]です。あんまりな言いがかりです。それを真面《まとも》に受け
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