が小兵《こひょう》の法師ですから、弁信が笈を負うのではなく、笈が弁信を背負って馬に乗っているように見えます。
それと見て集まった人々は、今日の馬上の有様の変ったのに驚き、また前にいるべきはずの茂太郎のいないことを怪しみもしました。それにも拘らず、盲法師の弁信は自ら手綱をかいくって、徐々《しずしず》と馬を進めながら、今日は馬上で得意のお喋りをはじめます。
「皆さん、老少不定《ろうしょうふじょう》と申して、悲しいことでございます、長らく皆様の御贔屓《ごひいき》になっておりました茂太郎が死にました……お驚きなさるのも御尤《ごもっと》もでございます、皆様がお驚きなさるより先に、私が驚きました、無常の風は朝《あした》にも吹き夕《ゆうべ》にも吹くとは申しながら、なんとこれはあんまり情けないことではござりませぬか、昨日までは皆様と一緒に、ああして歌をうたい、踊りを見ておりました茂太郎が、僅か一日病んで、眠るが如くこの世の息を引取りましたと申しますのは、ほんとに私ながら夢のようでございます、これと申しても、みな前世の因縁ずくでございますから、誰を怨《うら》み、何を悲しもうようもございませぬ、それで、
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