たから、これも取って参りました、これを召上ってお待ち下さいませ、ただいま御飯を炊《た》いて差上げますから、松茸の即席料理を、わたくしの手でこしらえて上げようと存じます、温かい御酒と、温かい御飯を差上げたいと思いまして」
酒を手に取らないうちに、竜之助は酔わされた心持です。口をつけると上燗《じょうかん》に出来上っている酒の香りが、五臓六腑に沁《し》み渡ります。
「ああ」
と言って咽喉《のど》を鳴らしました。温かい酒と、温かい飯の誘惑が、己《おの》れを物狂わしくするのを制することができません。
土瓶の中を立てつづけに飲みました。義理も人情もなく飲みつくしてしまいました。
その間にお徳は、更に温かい飯と、新しい松茸の料理にかかるべく焚火を加えて、その火加減をながめています。それによって見ると、飯を焚いているのではなく蒸しているものらしい。よく山の旅に慣れているものがするように、湿気のある土地に穴を掘って木の葉を敷き、それに米を入れてまた木の葉と土とかぶせて、上で焚火するという仕組みでやっているものらしい。松茸の料理というのも、多分そうしてこしらえるのでしょう。
温かい酒と、温かい飯と
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