た附焼刃《つけやきば》だ、いいから、そうしていねえ、一人前に二分ずつやる」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]は金で追払おうとすると、遊び人どもは、
「御免なさんし、手前、金銭に望みはござんせん、親分様のお手先になって、江戸表へお伴《とも》が致しとうござんす」
「勝手にしやがれ」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]は出しかけた財布をひっこめたが、手早く手近な奴の横面を一つ撲り飛ばしておいて、一散に八王子の方面へと走り出しました。
「御免なさんし、親分様、お江戸までお伴《とも》が致しとうござんす」
 これらの遊び人どもが、がんりき[#「がんりき」に傍点]のあとを慕ってどこまでも追いかけるのは、かなりしつこい[#「しつこい」に傍点]ものです。

         十一

 この時分、高尾山薬王院の奥の院に堂守をしていた一人の老人がありました。
 以前、不動堂がまだ麓《ふもと》の登り口にあった時分は麓にいたが、不動堂が頂上の奥の院へ遷《うつ》されると共に、この老人もまた頂上へ移りました。
 この老人の前生を聞くと、やはり一個の武芸者であったようです。少壮の頃より諸国を修行し、年老いてここの堂
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