せとけしかけたものです。
「先生、がんりき[#「がんりき」に傍点]を見込んでそうおっしゃって下さるのが有難え」
がんりき[#「がんりき」に傍点]は、額を打って恐悦しました。
十
多分、厚木へ一晩泊り、荻野山中《おぎのやまなか》へ南条を送りつけて一晩泊ったのであろうと思われるがんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵は、前と同じ道を逆に八王子方面へ向けて帰り道です。
南条は多分荻野山中に逗留《とうりゅう》していることだろうが、あの先生、あんな山の中の城下に逗留して何事を為さんとするのか、へたなことをして、また甲府の二の舞を踏んで牢屋へ叩き込まれるようなことをしなければよいが。
南条を残して、独《ひと》り帰るがんりき[#「がんりき」に傍点]の百蔵は、ほくそ笑みして、何とやら包みきれぬ嬉しさが面《かお》にいっぱいです。これもまた相当の謀叛気があって、当りがついたことから嬉しさが包みきれないものと思われる。
「もし、あなた様はがんりき[#「がんりき」に傍点]の親分様ではございませんか」
これには、さすがのがんりき[#「がんりき」に傍点]が少し吃驚《びっくり》させられ
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