るのか」
「ははは、先生、あればっかりはいけませんよ」
「ふーん」
「先生、いやな嘲笑《あざわら》いをなすっちゃいけません。なるほど、たったいま申し上げた通り、もの[#「もの」に傍点]にしようと思えば、どんな物でもきっともの[#「もの」に傍点]にして見せるがんりき[#「がんりき」に傍点]ではございますけれど、あれだけがもの[#「もの」に傍点]にならないというのは、失礼ながら、あのお屋敷にああしてたくさんの豪傑が詰めておいでになるから、それにがんりき[#「がんりき」に傍点]ほどの者がすくんで手を引いているなと、こう思召しになっては違いますよ、どなたが幾人おいでになろうとも、それを怖がって、もの[#「もの」に傍点]になるものをみすみすそのままで置いては、がんりき[#「がんりき」に傍点]の沽券《こけん》にかかわります。正直のところ、覘《ねら》いをつけてみたことも無いではございませんが、怖いですよ、このがんりき[#「がんりき」に傍点]ほどの男が慄《ふる》え上ってしまいました」
「意気地のない奴だな」
「全く意気地がございません」
「何がそれほど怖いのだ」
「は、は、は、がんりき[#「がんりき」
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