ず天井といわず、その槍の石突と穂先との両方でブスブスと突き立てたものです。
幸か不幸か、日頃は少なくも十人以上も、ごろごろしているはずのこの屋敷に、この晩に限って一人もおりません。今頃、彼等は王子稲荷の衣裳榎《いしょうえのき》とやらで狐の面をかぶって、夢中になって化かしつ化かされつしているところでしょう。
こうして間毎間毎を存分に荒し廻った神尾主膳は、やや暫くあって、再び縁側から池のほとりへ身を現わしました。その吐く息は大風のように、身体の疲れきっているのは綿のようであろうとも、さいぜんからの主膳を物狂わしく働かせているのは、たしかに別に天魔波旬《てんまはじゅん》の力が加わっているのだから、絶え入らないところが不思議です。
再び池のほとりへ立っていた主膳は、やはり槍は持っていたけれども、獲物《えもの》はありません。お銀様はついにいずれかの方角へ取逃がしてしまいました。
残念で、無念で、腹が立って、業が煮えてたまらない神尾主膳は、火のように燃える眼を瞋《いか》らして四方をながめる。その池の中がまた火のように燃えているのを認めました。池が燃えているのではない、この時分に、さいぜん焼
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