と軋《きし》るたびに、私の骨と肉がそれだけ擦り減らされて参りますのです、死んだ後までも、私がかわいそうだと思召すなら、どうか、あの車井戸の音だけでも差止めて下さい、ああ、苦しい、私は神尾主膳のために、鉄《くろがね》の熊手で骨と肉とを掻きむしられながら、地獄の底へ落ちて行くのでございます」
お銀様の耳には、車井戸の音も、神尾の怒号も、一つになって幸内が恨みとなって響いて来るのです。
「わたしは、あの車井戸の音がいやだ、夜更けにあの音を聞くのはいやだ」
お銀様は目を閉じて幸内の面影《おもかげ》を見まいとし、耳をふさいで車井戸の音を聞くまいとしました。けれども車井戸は一倍けたたましく軋り、神尾の怒号は、耳をふさいでいるお銀様の両手をもぎ離すほどに烈しく鳴りはためいて、
「寝ても醒めても、貴様のお喋りが癇にさわってたまらない、井戸の中から出て来い、それとも土蔵の中に隠れているのか、土蔵の中に隠れているならば、土蔵の戸を押破って、この槍で突き殺してくれよう」
散々《さんざん》に井戸へ当り散らした神尾主膳は、投げ捨てた槍を拾い取って、この土蔵をめがけて突進して来ました。
神尾主膳は土蔵の引
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