繰込んできた同勢は手を取り組んで、ここの木蔭や、かしこの築山《つきやま》の蔭で散々《さんざん》に踊ります。はじめのうちは頬冠《ほおかぶ》りをしている者も多かったが、いつか知らずそれも脱《ぬ》けて落ちて、果ては自分の帯の解けて落ちたのを知らないで、踊り狂う女もありました。
「お屋敷のお方も踊りなさい、皆さん一緒に踊りましょう」
 踊りの同勢は見物のすべてを踊りに巻き込まずにはおきません。それを巻き込んで行くから、おのずと同勢が殖えてゆくのです。
「どうも御苦労さまでした、また明晩も来て踊って下さい、待っていますから」
 夜明け近くになって、踊りがいよいよハネようとした時に、お絹の挨拶がこうです。だから、いやでもその翌晩、この踊りの同勢が繰込まないという限りはありません。
 果して翌晩、また同勢が押寄せて来たには押寄せて来たが、驚かされたことには、その多数の人が悉《ことごと》く、紙製の狐の面をかぶって来たことです。
「これから王子の衣裳榎《いしょうえのき》へ行って踊ります、皆さん、後からいらっしゃい」
 こう言って狐の面をかぶった者共が、この化物屋敷の前で、あっさり踊ると、今晩は屋敷の中
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