ている形は、見事というべきものです。
 そこで、一座の連中は忽《たちま》ち、以前の通りに席に戻って、身にふりかかる灰神楽《はいかぐら》を払おうともせずに、再び座を正して、相変らず弾じつづけている木崎原の一曲に耳を傾けはじめました。
 それですから爆発も、その爆発から起った狼狽も、ほんの瞬時の光景で、席は以前と同じことの静粛なものに返り、琵琶の弾者は一層の勇気を以て、首尾よく木崎原の初段を語り済ましました。
 その曲が終った後に一同が初めて、ホッと息をついて、さて、いま起った不意の椿事の原因いかにと眼を光らした時に、犠牲となった薬鑵をつるし上げて、莞爾《かんじ》として火鉢の灰を掻きならしているのが益満《ますみつ》です。
 一座の者の荒胆《あらぎも》を挫《ひし》いで興がるために、火鉢の中へ弾丸をうずめておいたものがある。それが刎《は》ね出した時に、一座の狼狽ぶりを見て笑ってやろうという悪戯者《いたずらもの》があったのだと思いました。して、その悪戯者は誰であろう、多分、薬鑵をつるしてほほ笑んでいる益満の仕業ではなかろうかと思いました。
 その場は、これだけの悪戯《いたずら》で済んだけれども、
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