けなくも清和天皇の御末、多田満仲《ただのみつなか》よりこのかた、弓箭《ゆみや》の家に誉を取り、政道を賢くし給へば……」
[#ここで字下げ終わり]
という大干《たいかん》にかかった時に、最初から鼻をひこつかせていた盲法師《めくらほうし》の弁信が、いよいよ法然頭を前後左右に振り立てて、さながら見えぬ眼に、何かを探そうとするらしき振舞のみが甚だ目ざわりです。
 この弁信もまた、自ら名乗るところの如く、上手か下手かは知らないが、かりそめにもその道に心得のあるものだから、礼儀から言っても、趣味から言っても、もっと温和《おとな》しくしていなければならないはずのが、ついに堪り兼ねると見えて、
「あ、もし、皆様、せっかくの弾曲の間を大変に失礼でございますけれども、皆様に申し上げなければならないことが出来ました」
 琵琶歌の半ばに、席の隅っこにいた見慣れぬ小坊主が叫び出したから、
「叱《し》ッ」
 叱りつけた者がありましたけれど、弁信はそれを耳にも入れないで、
「もし、皆様、火薬の臭《にお》いが致しまする、このお部屋の中に烟硝《えんしょう》の臭いが致しまする」
 言いも終らぬ時に、轟然《ごうぜん》たる響
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