うだが、お前、行って見たか」
「ええ、行って見たこともございます」
「人間は踊りたがるように出来てるんだ、それが男だけでは熱が出て来ないんだ、女が出て踊るようになるから熱が出て、逆上《のぼ》せあがってしまうのだな」
「そうですとも。上方で見ました時に、女が裸で踊る有様といったら、とても見られたものじゃありませんでした。女はあまり人中へ出て踊らない方がようござんすな。もっとも、踊りも優美な品のいい踊りならずいぶん結構でござんすけれど、えいじゃないか[#「えいじゃないか」に傍点]の踊りばかりは感心しません。西洋の国では、エライ身分の人たちまでが夜会ということをして、男と女と夜っぴて踊るんだそうですが、日本の土地にもその真似が流行《はや》ったんでございましょう、世が末になるとロクなことは流行りません」
「誰か裏にいて、煽《おだ》てる奴があるんだよ」
 七兵衛と山崎とが、こんな話をしているところへ、人混みの真中に揉《も》まれて、馬に乗った天狗の面が現われて来ました。
「あれだ、ああいう木偶《でく》の坊《ぼう》を祭り上げて、いい気になって騒いでいる」
 二人は馬上の人身御供を苦々《にがにが》しげ
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