まって来たし、この家の主人や婢僕《ひぼく》までもみな廊下のところに、そっと様子を見に来ている。その向うには、望月家を初め、土地の古老たちまで面《かお》を並べて怖る怖るこちらを見ています。
「いや、神尾殿、槍は貴殿に進上致すが、貴殿の方から拙者も頂戴致したいものがある、なんとお引替え下さるまいか」
「この槍と引替えに何を御所望かな」
「拙者には別に望みはないが、もとこの槍は望月家秘蔵の槍、よって望月家へ相当の謝礼をしてもらいたい」
「望月家へ謝礼とは?」
「もとより金銭に望みはない、先刻お引連れになった望月家の若主人、これは望月家にとって槍よりも大切な品、それとこの槍とお引替えが願いたい、その仲人《ちゅうにん》は山崎譲」
「ナニ」
「この槍と望月の若主人とを引替えてもらいたい」
「黙らっしゃい」
「黙れとは?」
「言わせておけば方図《ほうず》もない、いったい貴様は何者だ、山崎譲の名を騙《かた》って拙者共の部屋へ案内もなく推参する不届者《ふとどきもの》、拙者共の知っている山崎は貴様のような盲目《めくら》ではない、病人ではない、このうえ無礼を申すと手は見せぬぞ」
擬いの神尾主膳は堪《たま》
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